深層心理に深く入り込む話の聞き方-コーチングのスキル編

ーチングはクライアントの深層心理に共に入り込み、クライアントの奥底にある何かを彼ら自身に見つけ出してもらう作業です。

コーチはクライアントの深層心理のガイド役となることで、クライアントにとって安全安心な場を作り上げて行きます。とはいえ、深層心理を進んで冒険していくのはクライアント本人です。あくまでクライアントの冒険を補佐する役割です。

深層心理の中にどっぷりとつかってもらうことでクライアントの中に眠っているかぎりない可能性にアクセスしてもらい、クライアントにより大きな成功をつかんでもらうことがコーチの役割のひとつです。

今回の記事では、プロコーチがクライアントの深層心理に入っていくためにどのような関わり方をしているのかについて具体的に分かりやすくお伝えさせていただきますね。

あなたがこの記事を読み終わった時に、会話相手の深層心理に溶け込むことが出来るような関わり方を身に付け、相手との信頼関係をより深く出来るようにしていただければと思います。

1.コーチングはクライアントの深層心理にアクセスする技術

深層心理に入るというとなんだか危険な感じを受ける方もいるかと思いますが、相手を洗脳したりする技術ではありませんのでご安心下さい。私達コーチはクライアントのイメージの世界をともに旅をする事に焦点をあてているため、相手を無理やり自分の思い通りに変えることは出来ません。

クライアントにイメージの世界を見てもらう事に重きを置いているため、そのイメージの解釈はクライアントに任せています。この関わり方こそがクライアントの主題を尊重し、コーチではなくクライアント自らが深層心理から答えを見つけ出してくるために重要なのです。

コーチがクライアントの深層心理に入る事でのメリットは大きく分けて4つあります。その4つとは下記になります。

・ラポール(信頼関係)が強固になる
・相手の可能性が引き出される
・盲点が見えてくる
・相手の感情に触れることで押さえつけられているストレスを解放できる

では、具体的に上記の4つのメリットを見ていきましょう。

1.1.深層心理に入る事でラポール(信頼関係)が強固になる

相手の深層心理に深く触れるとより信頼関係は強固になります。人は自己開示すればするほど、した側もされた側もより強固に繋がるという心理学の実験がありますが、まさにその通りだと言えるでしょう。深層心理をともに旅するということは、相手があなたを受け入れてくれて自己開示をしてくれる状態になるのです。

信頼関係の築き方について詳しくは下記の記事をご覧下さい。

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1.2.深層心理に入る事で相手の可能性が引き出される

深層心理をともに旅することで相手は今まで気が付きもしなかった自分の可能性やあり方を感じることが出来るようになってきます。自らの心の奥深くに仕舞い込んでいた認識を垣間見ることで、相手の見えている世界は大きく変わり、自らの可能性の大きさを確認出来るのです。

今まで無意識だったものが意識化に上ってくるだけで心のあり方は大きく変わって来ます。自分の可能性に気が付くことによって、気が付く前の自分からは想像もつかないほどの力が引き出されていくものなのです。

1.3.深層心理に入る事で盲点が見えてくる

深層心理をともに旅するということは、相手の内面の世界を俯瞰してみることに繋がります。人は思い込みを持つととある一点しか見えなくなってしまう性質を持っています。これをコーチング用語で盲点と言います。この盲点があると別の様々な選択肢に目をやることが出来ません。

私達は相手の世界を俯瞰してみることが出来るため、相手が盲点に陥っていることを理解することが出来ます。相手がひとつの側面に捉われていたら、ガイドとして違った道もあるということを相手に伝えることが出来てきます。そのため、相手も盲点に捉われていたということに客観的に気が付くことが出来るようになってくるのです。

1.4.深層心理に入り相手の感情に触れることで押さえつけられているストレスを解放できる

深層心理の旅をしていくと相手の押さえつけている感情に辿り着くことがあります。普段、相手が意識上で抑え込んでいる感情だけに、深層心理の中には強力なストレスとなってこびりついている事が多いものです。押さえつけている感情は押さえつけることに力が向かいすぎてしまいストレスになってしまうのです。

だからこそ、あえて深層心理の中で押さえつけていた感情にスポットライトをあてて感情を味わってもらうと、押さえつけられていた感情は浄化されてみるみるとストレスが縮小に向かい始めていきます。深層心理の中だからこそダイレクトに感情に焦点をあてることが出来るため、効果が大きいのです。

下記の記事では抑え込んでいる感情をセルフコーチングで味わう方法について書かせて頂きました。

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2.相手の深層心理に入るためのコーチング的あり方

この章では深層心理に入るための心のあり方についてお伝えさせていただきます。聞き手としてしっかりと自らの心のあり方を鮮明にしておくことでより相手と深い部分で関わり合うことが出来るようになるでしょう。

2.1.テーマを尊重する

あなたがコーチング的関わり方をして深層心理に入る前にしていただきたいことは、相手のテーマを聞きだすということです。テーマがない中でコーチング的関わり方をしてもそれは普通の人と話をするおしゃべり以上の物は生まれません。

相手のテーマを聞き、今回の深層心理の旅で具体的に何を明確にしていきたいか?という事を聞くことがとても大切です。大きなテーマを聞きつつも、今回の話し合いの場で何を明確にしていきたいかを聞きだすことで深層心理の旅はより具体性をおびてきます。

遠くのゴールを目標にしつつも、まずは通過点に達する道のりまでをサポートしていくことが結果的に目標に到達する最短距離になって行くからです。

2.2.ディスタンスを置く

コーチはクライアントに寄り添いつつも一定間隔の距離(ディスタンス)を置く必要があります。クライアントの怒りや悲しみ全てにおいてコーチが同じ心境になっていては深層心理のガイド役は出来ません。あくまでクライアントに寄り添いつつもガイドとして俯瞰して客観的に深層心理の世界を歩んでいく事がコーチには求められます。

深層心理の中でクライアントと同じ視点でしか物事を判別することが出来なくなってしまってはクライアントは自らの可能性を見出していくことは出来なくなってしまいます。あなたがコーチング的関わり方をするのであれば、相手の方との心理的距離を一定に開けておくことが大切です。

2.3.相手の無限の可能性を信じる

コーチは相手の無限の可能性を信じることが大切です。相手の可能性を信じるということは、そう簡単なものではありません。それは、相手の可能性を信じるということは、自分自身の無限の可能性も信じることが求められるからです。もし、あなたがコーチ的かかわりを相手にしていくのであれば、あなた自身の無限の可能性も信じていけるよう日々自己を磨いていく必要があります。

相手の無限の可能性を信じることが出来れば、深層心理の中で相手がくじけそうになったとしても、相手ならばどのような困難な状況でも乗り越えることが出来ると信じることが出来ます。相手が自分をあきらめそうになったとしても、コーチ役のあなたが相手を信じ続けていることで、相手の中で自分を信じてもいいのだという許可が下りてくるのです。

コーチ役のあなたの力強いかかわりがあって初めて、深層心理の旅を迷うことなく、つまずくことなく進み続けることが出来るのです。

2.4.相手と今この瞬間からつくっていく

イメージの世界をともに歩んでいく深層心理の旅は決まったプロセスがあるわけではなく、すべてを今この瞬間のアドリブで創り上げていくものです。決まった質問をしたり、決まった対応をしたりして相手を誘導するのではなく、相手の言葉から相手の深層心理に入っていくとっかかりを見つけて行きます。

まるで相手とダンスをするかのようにすべてがその場その場の状況から作り上げられます。コーチングのセッションが終わったらどのように変わっているかはコーチもクライアントもまったく分かりません。コーチ役のあなたが出来る事は今この瞬間のプロセスを相手とともに過ごす事に意識を集中させることです。

2.5.相手と共にいる

相手と一定の心理的距離は取りつつも、コーチはクライアントと共にいることを絶えず意識しています。クライアントの発言に共感したり、クライアントの表情を伝えて上げたり、コーチはクライアントの心を移す鏡のように、クライアント自身を反映していくことが求められます。

そうすることで、相手はコーチが自分自身の悩みや問題を本当に理解してくれているという想いを持ってくれるため、より信頼関係が強固になっていきます。コーチ役の関わり方をするのであれば、あなたも相手に意識を向けて、相手とともにいるという事を常に意識をしてみて下さい。

3.相手の深層心理に入るためのコーチング的関わり方

この章では深層心理に入るためのコーチング的な関わり方についてお伝えしていきます。主にコーチングのテクニック的な要素について具体的に挙げさせていただきます。これらの技術を使うことでクライアントの深層心理にダイナミックにアクセスすることが出来るようになってきます。

3.1.相手の鏡になる

コーチはクライアントの鏡になることがとても大切です。クライアントは深層心理の中に入っていく中で自分自身の状態の変化に意識が向かいにくくなって行きます。そのような時にコーチがクライアントの状態や表情を言葉に出して伝えて上げることで、クライアントは自らの状態をコーチを通して感じ取ることが出来るようになってきます。

クライアントの状態や状況を超えに出して伝えていく事をコーチング用語で反映と言います。文字通り相手の状態を反映していくのです。

反映の例

  • 『なんだか、とてもワクワクしている感じがしますね』
  • 『今ひとつの事に深く集中している感じですね』
  • 『笑顔で顔がにやけてますよ。』etc

自らの状態をコーチを通じて知ることが出来る事で、クライアントは今現在自分自身に起こっている心境の変化に対してより感度を高めていくことが出来るようになってくるのです。そうすることで、深層心理のより奥深い部分まで到達していくことが出来るのです。

3.2.傾聴

傾聴とは話に耳も心も傾けて聴くという意味を持っています。コーチングでの傾聴は3段階に分かれています。傾聴の種類についてお伝えさせていただきますね。

3.2.1.レベル1内的傾聴

内的傾聴とは自分自身の心の声に意識が傾いている状態を指します。コーチングではコーチは内的傾聴にならないようにクライアントに意識を向けて接していきます。一方、クライアントは内的傾聴で自らの内側の声を聞いてもらいます。

3.2.2.レベル2集中的傾聴

集中的傾聴とはクライアントに意識を向けることで、クライアントの声や言葉、トーンからクライアントの伝えたいことに耳を傾けて行きます。自らの心の声に意識を向けることはせずに、クライアントに向かって意識を集中し続ける聴き方となります。

3.2.3.レベル3全方位的傾聴

全方位的傾聴とはクライアントの深層心理を聴きとっていく傾聴方法です。集中的傾聴同様にクライアントに意識を向け、声や言葉、トーンに意識を向けつつも、クライアントが発するエネルギーの質感や、イメージの世界でのクライアントの状態を聴きとることで、相手のイメージの世界を共にシェアして行く聴き方です。

相手の話を聞く時に目をつぶり、相手のイメージの世界の中を思い描いてみて下さい。自然とイメージの世界が頭の中に広がっていったら全方位的傾聴は出来ています。

傾聴についてより詳しくは下記の記事をご覧下さい。

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3.3.ラポールを築く

ラポールとはフランス語で架け橋と言う意味です。心と心の架け橋と言う意味で主に信頼関係の事を指します。ラポールを築くためにはまずは相手の身体や状態から入ることをお勧めします。そのほうが、ダイナミックに力強く相手と信頼関係を築くことが出来るからです。

一度ラポールが築かれたら、コーチングによってそのラポールを再度強化していくのです。まったくラポールが出来ていない状態からラポールを築くための技術は今からご紹介する下記の3つです。

3.3.1.ミラーリング

ミラーリングとは相手の状態をまるで鏡で反射したかのように反復することです。相手のしぐさや動きをなぞるように繰り返すことで相手と心理的距離が縮まって行きます。人は自分と似たしぐさをする人に無意識的に惹かれてしまうからこそこの技術は簡単なのですがラポールを築く上では効果的な方法だと言えます。ただし、やりすぎにはご注意ください。さりげなく合わせることがポイントです。

3.3.2.ペーシング

ミラーリングが相手のしぐさや行動を反復したのにたいし、ペーシングは相手の声のトーンやイントネーション、速さを併せていく方法です。こちらもミラーリング同様、人の潜在意識に訴えかけている方法であるため、ラポールを築く上でとても効果の高い方法です。

3.3.3.リーディング

ミラーリングやペーシングでしっかりとラポールが出来た上で、今度は自分からリードを取っていくことをリーディングと言います。ラポールがしっかりと出来てくると人は無意識に相手に合わせようと同調行動を取ってくるようになります。自らが会話やしぐさをリードすることでリーディングが相手とうまく機能すればラポールは一層強くなっていることでしょう。

ラポールを築く技術についてより詳しくは下記の記事をご覧下さい。

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3.4.深層心理に深く入るためのコーチング的関わり方

深層心理に深く入るためにはある程度のテクニックが必要です。これから紹介するテクニックを使い、相手をイメージの世界に深く誘導して行くこともコーチングで行う関わり方のひとつです。ひとつひとつはそれほど難しいものではありません。慣れてくれば意識をしなくても自然と使いこなせるものばかりだと思います。

3.4.1.比喩

比喩の技術はコーチング以外にもイメージを駆使する職業で数多く使われています。比喩を使うことで、説明だけでは想像がつきにくいような話でもすんなりとイメージが構成されていきます。

例えば、熱く夢を語っている人に対し、
『燃えさかる太陽の様だね』

恐怖に勝てずになかなか行動を移せない人に対し、
『まるで清水寺から飛び降りるかの如く怖がってますね』

無力感にさいなまされている人に対し、
『まるで洞窟の中でうずくまっているようですね』etc

比喩を使うことで、相手の感情と状況が説明よりもはるかにぴったりくることが多いため、比喩をとっかかりとしてイメージの世界の臨場感が深くなってくるのです。

3.4.2.認知

認知とは相手の人となりについて見えている部分を伝えていく技術です。反映が相手の見えている状態について言葉にしていたのに対し、認知は相手のあり方を言葉にしていきます。認知をもらうことで相手の中では自分自身が人として認められているという歓びのエネルギーで満たされてきます。

認知の例
  • 『あなたは情熱的なエネルギーがある方ですよね。』
  • 『あなたの周囲はあなたの影響によって笑顔で満たされていますね。』
  • 『あなたは忍耐力あふれる人ですね』

認知について詳しくは下記の記事をご覧ください。

[blogcard url=”https://visionary-mind.com/best30″]

3.4.3.直感

深層心理をともに旅をしていくと、相手のイメージの世界と自分自身の直感がリンクしてくることが多々あります。このように相手からインスピレーションを得て思い浮かんだ直感を伝えるととても大きなエネルギーとなっていきます。結果として、相手はより深層心理に深く入り込むことが出来るのです。

直感を投げかけられた相手は、あなたとイメージの世界がシンクロされているという不思議な感覚を味わうことでしょう。直感なので当たる時もあれば外れる時もありますが、大切なことはあなたが直感にこだわるのではなく、直感をエッセンスのひとつとして提供していく姿勢にこそあります。

また、あなたが直感にこだわってしまっては相手を深層心理から引き揚げてしまうことにつながりますので、直感を投げてからはその直感を意識の上から捨て去ることが求められます。

直感の例

  • 『なんだか桜の花が思い浮かんだのですが何かインスピレーションは湧きますか?』
  • 『直感なのですが、肩の痛みってありませんか?』
  • 『直感なのですがその光景は前にも見たことはありませんか?』

直感は思い浮かんでみたら出すということを心掛けてみて下さい。きっとあなたの直感がインスピレーションにつながり相手とシンクロしていくことが増えていくでしょう。

3.4.4.身体を使う

深層心理に深く入り込むには時には身体を使う事も大切です。例えば、胸にざわつきがあるなどと言われた場合、胸に手を当てて見てもらい、そのざわつきを感じてもらうことも出来ます。また、草原の中に大の字になって寝転がっているイメージであれば、実際にベッドや床に寝転がってみてもらうことも出来ます。

身体を動かすことによって、より深くイメージの世界に臨場感として入り込むことが出来ます。イメージの世界と身体の動きを連動させることで深層心理はよりダイナミックに相手に語りかけてくるのです。

3.5.拡大質問

拡大質問とは質問をすることで相手の答えが広がっていく質問です。これに対して限定質問とは答えがはい・いいえの二者択一になってしまう質問です。コーチングでは主に拡大質問をすることでクライアントの話が広がっていきます。

拡大質問の例

  • 『今どのように感じているの?』
  • 『何が歩みを止めさせている原因なの?』
  • 『どのような未来を掴み取りたい?』

など、相手の見ているイメージに沿った質問をしていくことが拡大質問には求められます。相手が見ている景色や光景がどのように見たり感じたりすることが出来るか?を聞くことで相手は自分自身の世界を言葉によって表現することが出来るようになるのです。

深層心理に深く働きかけるコーチングでは相手の感情を聴きとっていく拡大質問がとても重要な役割を果たしていきます。

まとめ

いかがでしたか?コーチング的関わり方をすることでコミュニケーションの質が深まることが
お分かりいただけたのではないでしょうか?

深層心理に歩を進めることで、相手がいままで見えていなかった部分をあなたを通して見つけていくことが出来るようになるでしょう。

あなたのかかわりが相手の未知なる可能性を潜在意識から引き出して行くのです。

あなたと関わることで周囲にいる人たちのポテンシャルはいつの間にか上がり素晴らしい環境になることは間違いありません。

是非ともさまざまなシチュエーションで使ってみて下さい。

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