こんにちは。リーダーシップ開発コーチのかず(坪井一真)です。今日は話の聞き方について焦点を絞っていこうかなーと思っています。一般の傾向として会話に苦手意識を持っている人の多くは、話が下手だから会話が苦手なんだという思い込みを抱えているんですよね。
でも、よく考えてみてください。あなたの周りにお笑い芸人のように会話がうまくて次から次に話をし続けている人ってそうはいないのではないでしょうか?中には圧倒的に面白くて何時間話を聞き続けていても、その人の話なら飽きないという人もいるかもしれません。しかし、そんな人が周囲にごろごろはいないですよね。
本来、人は他人の話をひたすら聞き続けているよりも、自らの話を聞いてもらいたいという欲求を持っています。この欲求を承認欲求といいます。人は自らを承認してもらいたいという欲求を常に抱え続けているんですよね。
今一度、あなたの周囲を見回してください。会話上手な人の話を観察すると、その人は自らが話をするよりも、人の話をうまく引き出しているはずです。オーケストラの指揮者のようにタクトを振りかざし、話の場を作り上げているのではないでしょうか。
お笑い芸人のように話がうまくなるには並々ならぬ努力と才能が必要です。しかし、聞くことであれば、意識を変化するだけで誰でも伸ばしていくことが出来るのです。あなたもプロのコーチが意識している話の聞き方をマスターして、会話上手の仲間入りをしてみませんか?きっと世界は大きく広がりを見せることでしょう。
Ⅰ.話の聞き方は人間関係の土台なりけり
人は悟りを開いた人でない限り大なり小なり承認欲求を持っています。承認欲求とは自分を認めてもらいたいという欲求です。人間とは社会的な動物であるため、一人では生きていけません。だからこそ、集団の中で孤立することを潜在的に避けたがる傾向を持っています。人に承認されることで孤立することの恐怖から解放されるということですね。
この承認欲求をもっとも満たすのが話を聞いてもらうということです。人は自分自身の話を聞いてもらうことで、自らが承認されたという安心感を持つことが出来るんですよね。だからこそ、話を聞くことが出来る人の周りには多くの人が集まってくるのです。
人は基本的に満たされたいのです。さて、あなたが話の聞き方を覚えていくとどのような変化がおこるでしょう?
そうです。あなたの周囲にはあなたを必要としてくれる人が自然と溢れてくるのです。それも、承認欲求を満たされた人たちはあなたに対して親愛の情をもって接してくれます。
Ⅱ.返報性のルール
社会学者や人類学者によると、人間文化の模範の中で最も広範囲かつ基本的なものの一つに返報性のルールがある。このルールは、他社から何かをあたえられたら自分も同様に与えるように努めることを要求する。返報性のルールは、行為の受け手が将来それに対してお返しをすることを義務付けるので、人は自分が何かを他社に与えてもそれが決して失われるわけではないことを確信できる。このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益なさまざまな持続的人間関係や交流、交換が発達することになる。したがって、社会のメンバーはすべて、このルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子供のころからたたき込まれる。
影響力の武器 P68より引用
上記の引用を簡単に説明すると、受けた恩は返すように人は生まれた時からプログラムされているということですね。承認欲求を満たしてもらったという恩義をあなたから得た人たちは、あなたに恩義を返したいという心境が無意識に働くということですね。
ただし、この情報は知識としてだけ持っておいて下さいね。人がなぜ話を聞いてくれる人に親愛の情を持つのかをお伝えしただけですので。はじめから、「返報性のルールがあるから、話の聞き方を覚えるぞ。うへへ。」などという下心ありきではいくらテクニックを覚えても見透かされてしまい、人間関係が進展することなどありませんからね^^
Ⅲ.beingとdoing
コーチング用語でbeingとdoingという言葉があります。beingは「あること」。doingは「すること」と捉えられています。簡単にいうとbeingは自身の在り方、doingは行動、行為と表現できます。主にコーチングの聞き方は行動や行為よりも、自身の在り方に焦点を当てて行きます。
そのため、今回お伝えするテクニックも在り方に絞ってお伝えさせていただきますね。なぜ自身の在り方に焦点を当てることがいいのか?それは、行為や行動の話は思考の言葉であり、自身の在り方とは心からの声になるからです。
瞑想など内的世界と関わる方法を習得していないごくごく普通の人は日々の生活を思考の言葉で過ごしています。すべての行動が頭に浮かんでくる声に支配されているのです。もしよろしければ一分間目を閉じてみて下さい。あなたの頭に回る思考の声に気が付くことでしょう。
1.あなたに住まうもうひとりのあなた
この思考の声とはあなたであってあなたではありません。あなたの中に住まうもう一人のあなたの声なのです。あなたという存在をフィクションで塗り固めてしまう脚本家といえばわかりやすいかもしれません。
この脚本家はあなたの人生を勝手に色眼鏡をつけて評価・判断してしまうのです。ティモシー・ガルウェイ著インナー・ゲームではこの思考の声のことをセルフ1と呼んでいます。このセルフ1は自分自身を評価・分析し自らの欠点を指摘することが特徴で自らを落とし込んでしまう性質を持っているのです。
すこしでもミスをしてしまうと、自分自身は何もできない人間なんだと落ち込んだ経験はあなたにもありませんか?これこそ、思考の声なのです。自らを評価・判断し、おおげさに物事を歪曲してしまう性質を持っている厄介な声なんですね。
2.心の声はあなたの大いなる味方
beingによる心の声をインナーゲームではセルフ2と呼んでいます。この心の声はあなたの感情の声です。あなた自身をよく理解していますし、あなたが最大のパフォーマンスを発揮できる方法をすでに知っている存在です。
この声はあなたがどうあるべきかをすでに知っているということが特徴です。進むべき道があなたにあった方向なら快の声をもたらしてくれることでしょう。頭では最善だと考えていることでも、あなたにあわない道なら不快な声として表現してくれることでしょう。
しかし、心の声は意識的に耳を傾けない限り聞こえにくいという性質を持っています。それは、脳の機能で説明できます。大脳新皮質や側頭葉といった比較的新しい脳は思考を司る脳の部位です。この部分は脳の表面の大部分を占めています。それに比べて脳の奥のほうにある偏桃体が感情を司る部位になります。脳の奥深くにある部位からの声だからこそ、表面の声に消されてしまうのです。
コーチング的、聞き方ではこのbeingの声を重視していきます。だからこそ、相手の本心を捉えることであなたと話し相手との間に密接な関係を築くことが容易に出来るのです。
次の章からはbeingを活用したコーチング的話の聞き方について詳しくお伝えしていきたいと思います。
Ⅳ.コーチング的話の聞き方6つの方法
コーチング的話の聞き方は耳だけで音を聞くだけではありません。むしろ、耳以外で聞くことにはるかに比重を置いています。コーチングの代表的な聞き方は傾聴と呼ばれています。
聴くという言葉は本来注意して耳にとめるという意味です。この聴くという言葉の前に傾けるをつけることで、身体や心、気持ちを傾けて聴くという意味になります。
コーチングでは耳だけでなくすべてを傾けて聴くことが大切なんですよね。でも、すべてを傾けるっていわれてもなーとあなたはお感じになるでしょう。そのため具体的にどのように聴くことがコーチング的聞き方なのかを説明していきますね。
1.身体で話を聞く
「身体で話を聞く」っていったいなんのこっちゃとあなたはお感じになるかもしれません。でも、この「身体で聞く」ってとても大切なことなんです。相手の身体の動きやリズムに同調して話を聴くことを、ミラーリングと呼びます。文字通り、相手の動きを鏡で反射したかのように合わせていくことです。
人は自分と似た人に好意を持つという習性があります。ミラーリングを行うことで、無意識下で自分と似た人だと感じてもらうことが出来るんですね。この無意識下というところがミソです。相手の動きをすべて真似をしてしまうと逆効果になります。理由として相手の意識に上ってしまう程大げさに真似をしてしまうと、相手は馬鹿にされているように感じてしまうからです。
身体で話を聞くには話のポイントポイントで大げさにならずように意識的に身体の動きを同調させていくことが大切なんですね。
2.目で話を聞く
「目は口ほどにものを言う」ということわざもある程、目力は人に与えるインパクトが強いものです。この目力は話を聞くときにもとても有効です。創造してみて下さい。あなたが話をする内容に対して、食い入るようにあなたの目を見続けてくる聞き手がいたらどうですか?真剣に話を聞いてくれているのだとお感じになりませんか?
これと同じく、人の話を聞くときは目力を活用して相手の目を力強く見ていくことが大切です。ただし、ずっと目線を合わせ続けるということではありません。なんでも度を越えてしまうとよくないですしね^^意識的に目線を合わせる感覚を少しだけ伸ばすくらいの意識でかまいません。それでも効果は絶大です。
3.心で話を聞く
「心で話を聞く」とは相手の話を聞くことに徹するということです。これもなんのこっちゃ?かも知れませんね(笑)通常、人は会話相手の話を聞いているつもりでも、自分の心の声と対話をしていることがほとんどなのです。
例えば、あなたが友人の話を聞いていた時のことを思い出してみて下さい。きっと心の中でこのような声が流れたことはあるはずです。「さっき、玄関のドアに鍵かけたかな?」「今日、見たいテレビがあるんだった」「明日の仕事今から手を付けなくては間に合わないなー」などなど。
これでは、あなたは会話相手の話を聞いているのではなく、自分自身との話に夢中になっていることになってしまいます。コーチング的話の聞き方では、自分の心の声に意識を向けず、正真正銘相手の話を聞くことに焦点を当てます。相手の話を心から聞くことに意識を向けるのです。
①.心で話を聞くためのとっても簡単な訓練とは
でも、思考はまるで滝のようにとめどなく流れ続けています。この思考にとらわれずに心から相手の話を聞くには訓練が必要です。訓練というとかなり敷居が高く聞こえるかもしれませんね。そんなことはありません。ご安心下さい。
今から説明する簡単な意識を話を聞くときに思い返してみて下さい。話を聞く相手に向かって心の中で前へならへをしてみるのです。こうすることで、意識的に相手に焦点を向けることが出来るため、思考の声に足をすくわれずに済むようになってきます。
この訓練を繰り返していくと、いつのまにか意識しなくても相手の話を心から聞くことが出来るようになっていくのです。ぜひお試し下さい。
4.空間で話を聞く
「空間で話を聞く」とは、場の声を聞くということです。相手に集中して話を聞いているとふと場の空気感が変わる瞬間などを感じることが多くなってきます。例えば、話をしている場が急に温まったと感じることが出来たり、ひんやりとすることがあったり。
この場の空気はよくお笑い芸人の人たちが使っています。場が引いたとか、寒くなったとか、ドン引きされたとか。。。どれも、場の声を反映して笑いを取っています。
場の声を反映して会話相手に伝えると、相手は自分の話の質感を客観的に理解することが出来るので、より自分の話の整理がつき、内面の深い部分まで入っていくことが出来ます。
例えば、「急に場の雰囲気が変わったね」「なんだかエネルギーに満たされて場が温まった感じがするよ」「なんだか今すぐにでも雨が降り出しそうなくらいどんより感じがするよ」などなど
ぜひ、あなたも空間で話を聞くことにチャレンジしてみて下さい。この効果は使うほどに素晴らしさを実感できるはずです。場の雰囲気を言葉に出す習慣をつけてみて下さいね^^
5.時間で話を聞く
「時間で話を聞く」とは、過去や現在、未来といった時間軸から話を聞いていくことです。「もし、すべての夢がかなった理想の未来から見たら今はどう見える?」「過去、充実感に満たされていた時だったら、今どのような選択をしたと思う?」「今感じている感情はどういった感情」などなど
この聴き方は相手がひとつの問題などで行き詰っていた時などに、過去や未来の視点といった俯瞰した視点から別の選択を発見してもらう時などに使います。また、相手に深く感情を感じてもらいたい時は、今の時間軸を使うことで味わえる感情が強くなって行きます。
感情の声はbeingの声です。感情の声を意識的に聞くことで人は大きな学びを得ることが出来るのです。感情の声を深く聞くには今の時間軸を使うとパワフルだということを頭の片隅にでも入れておいて下さい。
6.イメージの世界で話を聞く
お笑い芸人は多くの場面で比喩を使います。「お前は花さかじいさんか」「野良犬でもお前より品があるわ」「なにをチワワのようにぶるぶるしてんねん。お前からは可愛さは1ミクロンも出とらんからな」などなど
なぜ突っ込みにしろ、ボケにしろ、比喩を使うのでしょうか?それは、比喩を使うことで瞬間的にイメージの世界に入ることが出来るからです。もともと、比喩のスキルは催眠で使われているれっきとした技術なのです。
コーチングでも相手のイメージの世界に合わせて比喩のスキルを使っていきます。コーチとクライアントが同じイメージの世界に入ることでより深い深層心理からの声を聞くことが出来るためです。もちろん、コーチング的話の聞き方にも比喩のスキルを使うことで、話し相手との信頼関係は大きくなっていきます。
「豊かな土壌が耕されてあとは芽が出るのを待つだけなんでしょうね」「エネルギーが集約して水晶の核となったような印象を受けました」「まさに頭の中でビッグバンが起こった瞬間ですね」などなど
比喩は使えば使うほど語彙が増えていきます。はじめはまったく思い浮かばないかもしれませんが、果敢にチャレンジしてみて下さい。だんだん、言葉遊びが楽しくなり病みつきになってくるはずです。このスキルを使いこなせると相手と同じイメージの世界で過ごすことが出来るのでとっても楽しいですよ。
まとめ
今回は、コーチング的話の聞き方について具体的なスキルをお伝えさせていただきました。どのスキルも実戦で今すぐにでも使えるスキルとなっています。全てを一気に覚えて使いこなそうとするのではなく、まずは必殺技と呼べるくらいまで一つのスキルを身に着けてみて下さい。
一つのスキルを必殺技にまで昇華すると、話の聞き方の質がまったく変わっていることに気が付くことでしょう。ゆっくりと、あわてずに、ひとつひとつ覚えていって下さいね。このスキルがあなたのお役に立てることが出来ればうれしい限りです。
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